<< とっさ日記 | main | 行楽日和に掲げるビールグラス >>
2014.04.23 Wednesday

小さな道具

あたり前ですがどんなものでも人の手によって作られたものである限り
意識的であれ無意識的であれ何らかの意図を含んでいます。
そんなものを作るときに作り手がかける思いや考えを設計思想と言ったりするんですが、
使い手としての僕がそれを感じ取っている少しニヤリな道具たちを紹介します。

まずはじめに僕の仕事机に長年居座っているペン立てがいます。

彼とはベルリンでお会いしました。
見た目は至ってシンプルな形をしているんですが、
このペン立ては真っすぐ立つことが出来ません。
なんとペンがいっぱい入っている方向に傾くように出来ているんです。

よく使う方向へ傾くのでペンを抜き差ししやすく、
底はゴムで出来ているのでペン先に優しく音も鳴らない!
よく考えられた設計だとうっとりしてしまいます(笑)

次に同じくドイツのKRUPS社製のふたを開けて立てる目覚まし時計がおります。

彼女は少し神経質で細かなことにまでこだわりを持って日常業務に励んでいます。
まずふたを開けるとプラプラならず、開ききらずに途中で止めるとその位置で静止します。
ふたはもちろんキレイに隙間無く収まり、
少しザラついたマットな肌と相まってこれだけでも高級感を感じます。
ふたを開ききって時計を立てると気取ったところの無い丸い顔をこちらに向けてくれます。
そして何よりもアラーム音までしっかりデザインされていて、音がキレイで、
音と音の間に少しゆっくりとした間があり、起き心地がとてもよいのです。
素晴らしい!!日本の製品ももっとがんばってほしいと心底思います。

まー最初にドイツの道具を紹介したんですが、僕はドイツ工業製品贔屓なところがあります。
まわりを見渡すとドイツ出身の道具達が色々とあります。
ドイツ製品を一言で括るのには無理がありますが、無駄が少なく、作りがよくて
細部まで設計者の目が行き届いている洗練されたものが比較的多いように思います。
逆にいうと遊びが少なくて愛着は湧いても愛嬌はあまり感じ取れないともいえますが…。

次に滋賀県のガラス工芸家東さんのガラスコップを紹介します。

透明で解けかけた氷のような曖昧なフォルムのコップ。
けれども口回りに色を持ってきて縁取っていることでしまりのあるものになっています。
手で持ってみると凸凹の部分に指が入り込み持ちやすく、
口元の縁取られた輪っかは丸くて口当りがとてもよいんです!
このコップで飲むビールは最高です!!

ちょっと長いんですけどまだあります。
(少しブログをサボっていたから…と、いうわけではありませんよ(笑))

HEYのトレー(デンマーク)スチール製のカラフルな多角形のトレーなんですが、
一辺というか一面が同じ寸法で作られているので並べたり、中に入れたりしてもすっきりおさまります。
色と形の組み合わせで色々な表情を作ることが出来るレゴブロックのような発想
で作られているように思います。

そして、スウェーデン軍?のソープディッシュもなぜか部屋にあるんですが、
ステンレスの板にプレスをかけただけのシンプルな作り。

だけど最小限の手間でとてもよいものをつくっている!と感心しました。
底のプレスは強度を上げつつ石けんについた水を切れるように意図されているのかな?

最後にイタリア製の保存容器 どこにでもある当たり前の保存容器。

型ガラスで出来ていて均質ではあるけれどもメーカーのマーク?やちょっとした装飾があり、
どこか愛嬌を感じさせるところがある。そして何故か無印で扱っています!(どーみても有印なのに…)


とまぁ色々と紹介しましたが、僕の生活まわりにはきりがないくらいのニヤリな物が散らばっています。
そんなひとつひとつの物にそれぞれの設計思想や技術が詰まっていてそういった物に囲まれて送る当たり前の生活は
作り手のいろんな思いに支えられた、実はすごく充実したものなんだと改めて思いました。
そんな生活の細部ともいえる良き物達に囲まれた生活をこれからも楽しんでいきたいものですねぇ。




おまけ
生活に潜むステキな設計思想に触れられる本

.▲ッレ・カスティリオーニ 自由の探求としてのデザイン 多木陽介著
イタリアの巨匠デザイナーカスティリオーニの設計思想に触れられる名著!
第一部 物 第一章物の地図帖 でカスティリオーニのスタジオに入れます(笑)

道具の再発見 姿・かたち・機能との対話 佐貫亦男著
古い本です。ヨーロッパのプロダクトに潜む設計思想や国民性について書かれた一冊。
ドイツのプロダクトが大好きなくせに辛口なところがあったりしておもしろいです。
読み進めるとEU発足前のヨーロッパの旅をしながら物との対話を楽しんでいるような感覚になります。

製品開発とデザイン その優れた100選 Jay Doblin著 金子至・岡田朋二・松村英男 訳
こっちも古い本ですが、シンガーミシンやT型フォードはもちろん1742年のフランクリン・ストーブから
1965年ベル・トリムライン電話機まで、イリノイ工科大学デザイン研究所によって選定された優れた工業製品100選。
優れたデザインの背景を製品ごとに紹介していくんですが、解説文が訳のせいか少し大雑把で笑えるところがあります。


機会があればぜひ読んでみて下さいね。